2018年05月25日
社会・生活
企画室
大林 裕子
冬野菜から春野菜へ変わり、スーパーの店先は青々とみずみずしい野菜が彩り鮮やかだ。夏野菜も顔を出し、春と夏の「共演」で、今が一番ワクワクする時期である。
こんなおいしそうな野菜なのに子供のころは好き嫌いが多く、特に野菜は大嫌いだった。子供の味覚では、ニンジンやピーマン、ホウレンソウとどれも苦くておいしくなかったのだろう。肉の横に添えられた千切りキャベツは必ず残していた。
好きなものといえば、卵と豚肉とお菓子だったように思う。親はどうやったら野菜を食べてくれるのか苦労したに違いない。
その時期にしか味わえない旬の食材は自然の貴重な恵みだ。期間限定と思えば思うほど何倍もおいしく感じられる。今の時期だと新キャベツや新タマネギなどは、手軽に買えて料理もしやすい。
価格や味だけでなく、旬の食材は「栄養豊富で体に良い」とか、「初物は寿命が75日延びる」などと言われている。食べ物で体がつくられるのであれば、取り入れないわけにはいかない。
子供のころに好き嫌いばかりして、旬のおいしい物を食べていなかったとは随分損をしてきたものだ。大人になった今、改めてそう思う。
そうは言っても、最近はハウス栽培で一年中、ほぼ何でも食べられるし、部屋はエアコンでいつでもちょうどいい温度で過ごせるようになった。そのぶん季節を感じることが少なくなり、いま何が旬なのか分からなくなることも少なくない。
しかし、もっと旬の食材を意識すれば、ここまで触れてきたような「お得」なことが待っている。せっかく四季を感じることができる豊かな日本に生まれたのだから、それらを享受しない手はない。
(写真)筆者
大林 裕子